2006年7月29日土曜日

『〈こころ〉の定点観測』

 
昨日は意気消沈したまま、持病の定期診断に出掛けて、この本を待合室で読んでました。
これは作家なだいなだ氏編纂による、「こころ」をめぐる昨今の事件や社会現象を10名の異なる分野からの報告・分析を論じているものです。

中でも印象的だったのは、編者なだいなだ氏の「社会が病むということ」という彼自身の社会現象分析論でした。

少年犯罪がテレビや新聞で毎日のように取り上げられるようになって久しいですが、果たして「少年犯罪は増えた」のか?
犯罪白書を見てみると、平成に入ってから青少年による犯罪の検挙率は下がってきていて、昭和末期が一番ひどい。まぁ、あくまでも“検挙率”なので、実際のところは分かりませんが…。
しかし、ある意味では私たちの社会に対する認識は、マスコミによる報道によって大きく歪められていることは否定できない。

最近のニュースを見てみると、別に「キレやすい」のは少年少女たちに限らないし、「キレている」人たちは大人の社会にもたくさんいます。会社や官公庁なんかにもいるでしょう?

そう考えて見ると、著者の言うとおり、少年犯罪の増加はマスコミが作り上げた幻想なのかもしれない。
テレビであれば視聴率、新聞であれば購読率(か?)を競うがあまり、マスコミ各社はスクープを追う。そして、ニュースを大袈裟に報道することにより、視聴者の関心を引きやすくなる。
毎日、俗に凶悪犯罪と呼ばれる類のものはあちこちで起きているのに、力を入れて報道するのは10代による犯罪だったり、センセーショナルな背景を持つ事件ばかり。それらの報道はあまりにも脚色され過ぎていて、事件の本質が見えてこないことが多い(あと、キャスターと呼ばれる人たち、自分のコメント入れすぎ!!それはマスコミによる扇動に繋がる)。

なだいなだ氏はこういった現象を『社会が病んでいる』と表現している。
バブル期には、今では信じられないような奇行がまかり通っていた事実を取り上げ、時代ごとに人間の感性というものは大きく変わってしまっている、と述べている。

例えば、自殺する人間は精神的に弱いから…というコメントが今の世間では多いけれど、昔は勇気がないからというのが主流だったらしい。それは戦前・戦時中のころ、赤紙をもらって出兵に向かい、国のために命を散らすことができない者は“勇気がない”
という評価を下された。だから、それができなければ自害するという風潮にあったらしい。
それに、戦時中の日本の軍政府による操作された誤報道の多いこと!!

当然、今では考えられないことがまかり通っていた。
まぁ、政府による報道の規制っていうのは、ちょっと前に世界一の大国でもありましたけれど…。

さて、今の社会は病んでいるのか?

私の意見はYES

先の戦争に対して責任を抱いている天皇が靖国神社に参拝するのを否定しているのに、靖国参拝を”個人の心の問題”と誤魔化して自らの行為を正当化しようとしているのが、この国の首相なのだから病んでいるでしょう。何でもかんでも“心の問題”で済むならば、力を持ったマスコミが弱者を攻撃したとしても、「それは〈その報道を受け取る側の〉“心の問題”でしょう?」の一言で済まされてしまう。

モラルの欠如という言葉が今朝の新聞にも載っていたけれど、本当にモラルが欠如しているのは誰なんでしょうね…。 Posted by Picasa

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